他人の日記を覗き見ろ!ゴッホ!康熙帝!紫式部! トルストイ!モーツァルト!お前らの日記見せやがれ!

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 日記には人の秘密があけすけと書いてある。今日何をしたか、これから何をしたいか、何についてどう思ったか。そしてスケッチなども。しかし他人の日記を覗き見ることはモラル的にもできないし、物理的にも難しい。日記は私室に隠されたり、鍵をかけたりし、もし盗み見たことがバレたらその人への信用を失う。

 だが、公開されている日記がある。研究資料としての日記だ。レオナルドダヴィンチのような偉人の日記は保存されている。ダヴィンチのような、嘗ての偉人達はその多くが日記を記していた。いや、偉人だけではない。日記を書くことで歴史に名を残した人々が居る。

 「グレート・ダイヤリーズ 世界の偉大な日記図鑑」には、ゴッホやトルストイから、レオナルドダ・ヴィンチや李舜臣、キルケゴールに至るまで、種々の日記が網羅されている。日記は様々な紙とインク・ペンで書かれ、言語も書体も多種多様である。この本では、1人に対して2~4ページが割かれて解説や当時の歴史的経緯の説明がなされる。

 ただ問題もある。それは、部分的に和訳があるだけで、日記に何が書いてあるかを理解するのが難しいということだ。つまり、昔の英語やフランス語の誰かの肉筆を読めないと、日記を直接読むのは難しいのだ。
 だが、人物についての解説と日記の頁を撮影した写真があるので、プロフィールを読んで、イラストの様に日記を眺めるのを存外悪くなかった。

 例えば、ウジェーヌ・ドラクロワの日記は、文章の合間に水彩絵の具で描かれた絵が幾つも見受けられる。例えば、「モロッコ日記」という、ドラクロワが6カ月のモロッコ旅行を記した7冊の日記がある。そこの一頁では、フランス語の文章と、モロッコの風景と馬に乗った商人がありありと描かれている。絵が上手い!ここでは彼なりのインプット方法が分かる。旅をして、見たものの形態と色彩をメモし続けているのだ。

 他にも、ビクトリア女王の日記もあった。1832~1901年の人なので、この頃の英語なら読めるかなと思ったのだが、そもそも筆記体で書かれているのでアルファベットが分からない。掲載されていたのはビクトリアが女王になる前の日記で、1836年1月1日に王女がやり取りした新年のプレゼントが書かれているページ。白い頁に黒いインクで、流れるような線で文が連なる手帳。イラストはなく、文が一段ずつ規則的に文章が並んでいる。歴史の教科書で名前を見た人物が、現代を生きる我々と同じように日記を書いていたのだ。
 他方、レフ・トルストイの日記は、ビクトリア女王の日記と比べて荒々しい。文字が横線で潰され修正され、走り書きが端から端まで詰まっている。

 日記に記録することがトルストイやドストエフスキー、ゴッホという偉人達を形作ってきた。日記は人格形成の過程の記録だ。自分の思考を記述したり、旅で見た景色の形と色を描いたり、採集した昆虫のスケッチを書いたり…etc。何をどう書くかに多少の違いがあっても、日記が彼らを助けたことに疑いはない。
 我々が昔の偉人の事を知りたいと思うとき、その人の著作や伝記を読むだけでなく日記も読むべきだ。例えば、キェルケゴールは7,000頁以上の日記とノートを残している。書かれる文章は縦横無尽にひろがっていて、まるでキェルケゴールの脳内をそのまま移したかのようだ。

画像例の引用

以下に載せた画像は全て、東京美術 「グレートダイヤリーズ 世界の偉大な日記図鑑」のサイトから引用した。

グレート・ダイヤリーズ 世界の偉大な日記図鑑 | 東京美術
歴史を変えた世界の日記・書簡80点を、筆跡までわかる大判で、豊富な図版とともに紹介する。 文学(カフカ、ゲーテ、芭蕉、オーウェル、紫式部、トルストイ、ワーズワースほか)、芸術(ダ・ヴィンチ、コルヴィッツ、モーツァルト
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人名リスト

以下にこの本の裏面に書いてあった、日記が収録されている人の人名を記しておく。

Art 芸術
レオナルド・ダ・ヴィンチ
フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ
ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト
ウジェーヌ・ドラクロワ
ジョン・ラスキン
ロベルト、クララのシューマン夫妻
フィンセント・ファン・ゴッホ
アントニ・ガウディ
ポール・ゴーガン
パウル・クレー
ケーテ・コルヴィッツ
フリーダ・カーロ
デレク・ジャーマン

Expedition 探検
アントニオ・ビガフェッタ
アベル・ヤンスゾーン・タスマン
エドワード・バーロウ
ジェームズ・クック
ラルフ・クラーク
メリウェザー・ルイスとウィリアム・クラーク
ローズ・ド・ソールス・ド・フレシネ
ジョン・ミューア
イザベル・エベラール
ロバート・ファルコン・スコット
ハワード・カーター

History 歴史
メレル
小プリニウス
円仁
マージェリー・ケンプ
ルカ・ランドゥッチ
李舜臣
ペーター・ハーゲンドルフ
ウィリアム・ブラッドフォード
サミュエル・ビーブス
康熙帝
セヴィニエ大人
サン・シモン公爵
アナンダ・ランガ・ビライ
エリザベス・サンドウィズ・ドリンカー
アフマド・アッサーリフ
アン・リスター
マイケル・シャイナ
ビクトリア女王
メアリー・ポイキン・チェスナット
ランシス・キルバート
ベアトリス・ウェップ
アルフレド・ドレフュス
ルイ・バルタス
シーグフリード・サスーン
アンネ・フランク
蜂谷道彦
カロリーナ・マリーア・デ・ジェズース
エルネスト・チェ・ゲバラ

Literature 文学
紫式部
松尾芭蕉
ジェームズ・ボズウェル
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
ドロシー・ワーズワース
ウォルター・スコット卿
ゼーレン・キルケゴール
シャーロット・ブロンテ
ヘンリー・デビッド・ソロー
レフ・トルストイ
ゴンクール兄弟
アーサー・コナン・ドイル
ビアトリクス・ポター
ジュール・ルナール
ヴァージニア・ウルフ
フランツ・カフカ
ジョゼップ・ブラ
アナイス・ニン
ジョージ・オーウェル
アルベール・カミュ
シルヴィア・ブラス

Science 科学
カール・リンネ
アレクサンダー・フォン・フンボルト
チャールズ・ダーウィン
ヘンリー・ウォルター・ベイツ
トーマス・アルバ・エジソン
マリー・キュリー
カール・グスタフ・ユング

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